食育とは?食育基本法3つの柱と5つの目標、子どもへの食育の取り組みを解説

最近、「食育」と言う言葉がよく聞かれるようになりました。

「食育」は流行語やブームではなく、『食育基本法』と言う、ちゃんとした法律があり、5つの目標が定められています。

それでは、『食育基本法』とはどんな法律なのでしょうか?

食育基本法とはどんな法律なの?

食育基本法は平成17年に施行されました。

食育基本法の基本理念とは
・心身の健康の増進と豊かな人間形成
・子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割
・食に関する体験活動と食育推進活動の実践
・伝統的な食文化等への配慮及び農山漁村の食料自給率への貢献
・食育推進運動の展開
・食に関する感謝の念の醸成
・食品の安全性の確保等における食育の役割

誰もが”食”についての意識や理解、能力を高め、食を通して健康や文化、環境を高めることを目指すものです。法律の施行から10年経っていますが、子供の食育は力が入れられているものの、全ての人に関係する法律であるという認識は低いと思われます。

食育基本法の3つの柱

食育基本法は3つの柱から成り立っています。これなら簡単でわかりやすいです。

・食を選ぶ力を身につける
・伝統文化を継承する
・地球規模で考える

・食を選ぶ力を身につけるとは

栄養面や健康面、環境に良い食を選ぶ力を身につけます。肉や魚、野菜などの食材が作られる過程を理解し、調理方法を知ります。

・伝統文化を継承するとは

地域性や行事食など伝統文化を継承します。お箸の使い方や「いただきます」の挨拶など、マナーを身につけます。

・地球規模で考えるとは

環境や食料自給率などグローバルな視点を持ちます。

食育基本法が施行された背景

生活習慣病、孤食、キレやすい人、BSE、食品偽装、食品添加物、拒食症、貧困、環境破壊、アレルギー、食品廃棄物など、現在の日本には様々な問題があります。根底に食があると考えられています。食べることによってのみ、人は栄養を摂取することが出来ます。唯一のエネルギー源です。また、楽しみでもあります。

スーパーに行けば、一年中同じ野菜が手に入るので旬が、分かりにくくなってきました。外食産業が発達し、簡単に食べるものが入手できるようになってきました。あまりに容易に手に入るため、重要さに気づかずに”食”をおろそかにする人が増えています。ひとり暮らしの部屋でインスタントラーメンをすするのも、天皇陛下が皇居に国賓を招いて晩餐会を開くのも同じ”食”です。

皇居での晩餐会に出席する機会はなくても、家族ではない人と食事を共にすることは多いです。おもてなしの意味があるからですね。”食”にはいろいろな要素があることがわかります。全ての人が”食”を理解し、大切にして広げていくことで、様々な問題を解決につながるでしょう。

「食育基本法」5つの目標って何?

食育基本法は5つの目標があります。

1.国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成

食に関する適切な判断力を養います。健全な食生活により、心身の健康と豊かな人間形成を育みます。

2.食に関する感謝の念と理解

食生活は自然の恩恵の上に成り立っていること、食に関わる人々の様々な活動に支えられていることを理解し、感謝の気持ちが深まるようにします。

3.子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割

家庭が食育において重要な役割を持っていることを認識します。子供の教育、保育機関では積極的に子供の食育に取り組みます。

4.伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献

伝統のある優れた食文化や地域の特性を食生活に生かします。食料の生産者と消費者が交流を図ることにより、農山漁村の活性化と食糧需給率の向上を図ります。

5.食品の安全性の確保等における食育の役割

食品の安全性をはじめとする食に関する幅広い情報を提供します。食に関する知識と理解を深めます。

 

なんだか、堅苦しくてわかりにくい文章ですね。

食育は国だけでなく、都道府県、市町村も取り組まなくてはならず、家庭だけでなく、学校や保育所でも取り組まなくてはなりません。

食べることだけでなく、伝統文化や地域性も理解し、ひいては食料自給率の向上にもつなげようと言う、壮大な法律です。

 

子どもへの食育の5つの目標

学校や保育所などで行う食育の5つの目標はわかりやすいです。

1.食べる物を選択する力
2.料理を作る力
3.食べ物の味が分かる力
4.食べ物の育ちを感じる力
5.元気な身体が分かる力

安心で安全な食べ物を選び、料理をする力を持ち、味を感じ、食べ物の育ちを理解し、健康な体になることを理解することが目標です。

料理のしかたや農業体験など、バラバラで断片的であったものを食育とひとつにまとめて、総合的に学習しようというものです。

 

自治体が独自の食育プランをたてて取り組んでいます。

子供たちの食育は学校や保育所で給食を中心に行われています。

各市町村が地域性を考慮し、特色のある給食を提供し、食育を行っています。

例えば、沖縄県那覇市の幼稚園、小学校で実際に行われている食育は

・幼稚園で子供たちがじゃがいも、にんじん、たまねぎを栽培、収穫します。

採れた野菜を子供たちと親が一緒に調理し、カレーライスを作ります。出来上がったカレーライスをみんなで食べます。

・小学校の給食は行事食が提供されます。

冬至の日には「トゥンジージューシー」と言う沖縄の炊き込みご飯を食べる習慣があります。田芋や里芋が入っているのが特徴で、豚肉やにんじんなどの具の入った、優しい味の炊き込みご飯です。

・毎月、3~4回、給食で沖縄料理が提供されます。

ゴーヤーチャンプルー、にんじんしりしり、タコライス、もずく丼などです。

 

「食育」の大切さと今後の課題『家庭』

食育基本法が施行されてから10年以上経ちますが、まだまだ”子供のための教育”だけになっています。

食育は家庭の役割も大きいので、もっと家庭や地域を巻き込んだ形にしていく必要があります。

食育は単純に食べることだけではなく、ひとりで食べる”孤食”の問題や成人病の予防、地産地消、食料自給率の向上など、広がりを持っているものなので、ひとりひとりの認識が重要です。

全ての人が食育の理解を深められるような働きかけが必要です。

 

まとめ

食育という言葉は流行語やブームではなく、食育基本法という法律に基づいています。

5つの目標が掲げられていて、食べることだけでなく、伝統文化や地域性、食料自給率の向上も目指しています。

食育は子供のための教育のひとつではなく、食育基本法というすべての人に関係する法律です。食育基本法を簡単に解説すると、全ての人が”食”に対する知識と理解を深めることで様々な問題解決につなげることを目指しています。

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